センサー信号の増幅や電源制御など、連続的な信号を高精度に扱うために欠かせないアナログLSI。その性能は設計の巧拙に大きく左右されます。この記事では、アナログLSIの設計とは何か、デジタルLSIとの違いや設計工程、設計上の課題、そして設計を依頼する際のポイントについて解説します。
アナログLSIとは、電圧・電流・周波数などの連続的(アナログ)な信号を直接扱う集積回路です。増幅器やフィルタ、発振器、基準電圧源、A/D・D/Aコンバータ、電源管理回路などがその代表的な機能ブロックにあたります。
センサーが出力する微小な信号を増幅したり、必要な帯域だけを取り出したり、ノイズを除去したりと、目的に応じた性能を引き出すために、トランジスタの動作点やレイアウト構造まで細かくチューニングして設計されます。汎用部品では満たしにくい要求仕様に応えるため、設計の自由度を活かして最適化を図る点が特徴です。
デジタルLSIが0と1の離散信号で論理演算やデータ処理を行うのに対し、アナログLSIは電圧や電流といった連続量をそのまま扱います。デジタルは高速処理や大規模な演算に強みがある一方、アナログは微小信号の検出や高精度な増幅、リアルタイムな波形制御などに優れています。
設計面でも違いがあります。デジタルは論理合成や自動配置配線といった手法が確立されているのに対し、アナログはノイズや素子のばらつき、寄生素子の影響を考慮しながら回路とレイアウトを密接に連携させて作り込む必要があり、SPICEなどによる詳細なシミュレーション検証と設計者の経験が重要になります。両者は競合するものではなく、1つのチップ内に混在させて相互補完的に用いられることも少なくありません。
設計はまず、実現したい機能と目標性能を整理する仕様検討から始まります。増幅・フィルタ・変換などの機能、入力/出力レンジ、帯域幅、ノイズ許容値、消費電力、電源電圧、温度条件などを明確にしたうえで、どの回路方式・構成で目標を満たすかを決めるアーキテクチャ設計へ進みます。ここでの方針が、後工程の難易度やコストを大きく左右します。
アーキテクチャに沿ってトランジスタレベルの回路を設計し、SPICEやAMSシミュレーションでプロセス・電源電圧・温度(PVT)の変動を含めた条件で動作を検証します。想定性能を満たすことを確認したうえで、寄生素子やクロストークの影響を抑えるレイアウト設計を行い、試作(Fab工程)と評価を経て量産へとつなげます。回路設計者とレイアウト設計者が密接に連携することが、性能を安定して引き出すうえで欠かせません。
アナログLSIの性能は、ノイズ・素子のばらつき・寄生素子・PVT変動の影響を強く受けます。熱雑音やフリッカーノイズといった内部要因に加え、周辺回路からのクロストークや電源変動なども性能を左右します。こうした影響は完全には避けられないため、フィルタリングや適切なグラウンド設計、部品配置・配線経路の工夫などを設計の初期段階から織り込んでおくことが重要です。試作チップ単体では問題がなくても、実際の基板や装置に組み込むと課題が見つかることもあるため、実使用環境を想定した検証が求められます。
アナログLSI設計は専門性が高く、経験に依存しやすい領域です。外注・依頼する際は、設計者と発注者の間で認識のズレが生じないよう、要求機能や動作条件を仕様書として明確に整理することが第一歩になります。あわせて、アナログ回路の設計実績や仕様検討への対応力、シミュレーション・評価体制、量産支援や不具合時の解析体制まで見据えて、製品ライフサイクル全体を支えられる設計パートナーを選ぶことが、安定した開発につながります。
アナログLSIの設計を検討・外注する前に確認しておきたい判断基準や注意点をまとめました。
アナログLSIの設計とは、電圧・電流などの連続信号を扱う増幅・フィルタ・電源制御・A/D/D/A変換といった機能を、製品に必要な性能に合わせて集積回路として作り込む作業です。汎用ICを組み合わせるのではなく、要求仕様に合わせて回路構成やレイアウトまで専用に設計する点が特徴です。
部品点数の削減や基板面積の縮小、消費電力の最適化、ノイズ対策などが期待できますが、専用設計になるため、初期開発費や評価期間を含めて検討する必要があります。
デジタルLSIは論理合成や自動配置配線といった手法が確立されていますが、アナログLSIはノイズや素子のばらつき、寄生素子、電源・温度変動の影響を考慮しながら回路を作り込む必要があります。
そのため、SPICEなどによる詳細なシミュレーション検証と、回路・レイアウト設計者の経験が性能を左右します。属人的になりやすい領域であることも、難しさの一因といえます。
最初から完全な仕様書がなくても相談は可能ですが、現在の回路構成、解決したい課題、目標性能、使用環境、量産予定数、希望スケジュールを整理しておくと検討が進みやすくなります。
アナログLSIでは、入力信号の範囲、電源電圧、消費電流、ノイズ許容値、温度条件、周辺部品、基板上の制約などが重要です。これらが曖昧なままだと、見積もりや実現性判断の精度が下がることがあります。
相談自体は可能です。むしろ、仕様が完全に固まる前に相談することで、LSI化に向いているか、どの仕様を先に決めるべきか、どの部分に設計リスクがあるかを早めに確認できます。
ただし、「何を実現したいか」が曖昧すぎると、設計方針や費用感を出しにくくなります。相談前には、必須条件と希望条件を分けて整理することが有効です。
費用は、仕様検討、回路設計、レイアウト設計、検証、マスク費用、試作、パッケージ、評価、量産立ち上げなどの項目で決まります。カスタム性が高いほど、設計や検証にかかる工数は増えやすくなります。
費用を見る際は、初期開発費だけで判断しないことが大切です。量産単価、部品点数削減、基板面積削減、検査工数削減、長期供給の安定性まで含めて、製品ライフサイクル全体で比較する必要があります。
失敗しやすいのは、要求仕様が曖昧なまま設計に進むケース、実使用環境の条件が十分に共有されていないケース、評価方法が後から決まるケースです。
アナログLSIでは、ノイズ、温度、電源変動、個体差、周辺部品、基板レイアウトの影響が性能に関わります。試作チップ単体では問題がなくても、実際の基板や装置に組み込んだときに課題が見つかることもあります。
確認すべきなのは、アナログ回路の設計実績、仕様検討への対応力、シミュレーション・評価体制、量産支援、検査設計、不具合時の解析体制です。単に「設計できるか」だけでなく、試作後の評価や量産時の品質管理まで対応できるかを見る必要があります。
相談時には、技術的な論点を具体化してくれるか、リスクや前提条件を説明してくれるか、量産や検査まで見据えた提案があるかを確認しましょう。設計範囲・評価範囲・量産時の責任範囲を事前に確認することが、外注後のトラブル防止につながります。
アナログLSIの設計は、電圧や電流といった連続信号を高精度に扱うために、要求仕様に合わせて回路とレイアウトを作り込む専門性の高い作業です。ノイズや素子のばらつき、PVT変動などの影響を考慮しながら最適化することで、汎用品では対応できない性能要求に応えます。
設計を依頼する際は、要求仕様の明確化から検証・量産までを見据えた準備が欠かせません。実績と評価・量産支援体制を備えた設計パートナーを選ぶことで、安定した製品開発と競争力の強化につながります。
用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。
ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。
500nm/350nm/250nm/180nm
OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm
TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)
PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)
※1参照元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)