5G通信に用いるASIC

目次

5G時代のネットワークは、高速通信・低遅延・多数同時接続といった厳しい要件を満たす必要があります。その中核を担うのがASICです。ここでは、5G通信に用いるASIC の役割や進化について詳しく解説しました。

5GにおけるASICとは何か

ASICの役割と重要性

5Gネットワークの実現には、高速通信・低遅延・多数同時接続といった要求に対応するため、特定機能に最適化されたASICが欠かせません。特に基地局や無線アクセスネットワーク(RAN)では、ベースバンド処理や信号変調、ビームフォーミングといった高度な演算を担い、汎用チップでは難しい低消費電力・低レイテンシ・高信頼性を実現します。ASICは5Gの性能と安定性を支える中核的役割を果たしています。

5GインフラにおけるASICの
活用と価値

Standalone(SA)5Gへの
移行とカスタムASICの拡張性

5GインフラはNon-Standalone(NSA)からStandalone(SA)への移行が進み、コアからRANまで一貫した5G環境が求められています。カスタムASICは柔軟な拡張性を備え、ネットワークスライシングや超低遅延通信などの新機能に対応可能です。高効率な演算処理と省電力性能を両立することで、5Gの真価を発揮する基盤として重要性を増しています。

5GラジオASICの設計・開発工程

5GラジオASICの設計・開発工程は、要求仕様の定義から始まり、システムアーキテクチャ設計、RTL設計、検証、試作チップ評価を経て量産へと進みます。特に5G特有の広帯域信号処理やビームフォーミング対応が重要で、高度なEDAツールやIP活用が不可欠です。設計精度と低消費電力化を両立させる工程管理により、信頼性の高い通信インフラを実現します。

FPGAとの比較およびIntelの
構造化ASIC(eASIC)の提案

FPGA→ASICへの経済性の転換点

5Gなど、大規模インフラ用途では初期開発の柔軟性を持つFPGAが有効ですが、量産段階ではコストや消費電力の面ではASICが優位に立ちます。一般に一定数量を超えるとFPGAの高コスト構造よりもASICの方が経済的となり、この「転換点」が重要な判断基準です。Intelの構造化ASIC(eASIC)は、FPGAからASICへの移行を容易にし、開発期間短縮と経済性の両立を可能にします。

IntelのeASIC
(構造化ASIC)とは?

IntelのeASIC(構造化ASIC)は、FPGAとセルベースASICの中間に位置する半導体です。柔軟性と経済性を両立します。FPGAより消費電力や単価を抑えつつ、セルベースASICより開発期間とNREコストを削減することが可能です。

あらかじめ用意されたロジックや演算ユニットを利用し、必要に応じて配線をカスタマイズする方式で高性能と低コストを実現。5G基地局やエッジ処理など高効率が求められる分野で注目されています。

先端プロセス技術による
5G向けASICの進化

5nmプロセスでの高性能ASIC開発

5nmプロセス技術の採用により、5G向けASICは性能・効率の両面で大きく進化しています。従来世代に比べ処理速度の向上と消費電力の削減が可能となり、広帯域通信やリアルタイム処理に最適化された設計が実現可能です。

また、ダイ面積の縮小による小型化や高密度IP統合も進み、基地局やデータセンターなど多様な5Gインフラで、高スループットかつ省エネルギーなソリューションを支える基盤となっています。

まとめ
5GとASICの親和性と今後の展望

5GにおけるASICは、高速通信・低遅延・多数同時接続といった厳しい要件に応えるため不可欠な存在です。スタンドアロン5Gの普及やエッジ処理の高度化により、その重要性は一層高まっています。

今後、5Gや次世代インフラを支える上でASICの役割はますます拡大します。用途や目的に適切な開発パートナーを選ぶことが、成果を大きく左右する重要なポイントです。分野ごとに強みを持つメーカーを整理した特集ページ「目的別ASICメーカー3選」も併せてご確認ください。

目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ
ジェピコ公式HP
引用元:ジェピコ公式HP
https://www.jepico.co.jp/analog-asic.html
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ公式HP(https://www.jepico.co.jp/analog-asic/development_case.html)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

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