給湯器、空調機器、スマートロック、インターホン、各種センサー機器など、住宅設備には多くの電子制御技術が使われています。近年は省エネ性能や安全性、IoT連携、機器の小型化が求められるなかで、汎用ICやディスクリート部品だけでは設計上の制約が出るケースもあります。
こうした課題に対して有効な選択肢となるのが、特定用途向けに回路を最適化できるASICです。特にアナログASICは、センサー信号処理、モーター制御、電源管理、通信インターフェースなどを1チップに集約しやすく、住宅設備の高機能化・小型化・低消費電力化に貢献します。
住宅設備は、一般家庭のなかで長期間使用される機器です。そのため、製品には安定動作、低消費電力、故障しにくさ、長期供給への対応が求められます。また、屋外設置される給湯器やセンサー機器では、温度変化やノイズの影響を受けにくい設計も重要です。
一方で、機器の高機能化に伴い、基板上にはセンサー、アンプ、A/Dコンバータ、電源回路、通信IC、マイコン周辺回路など多くの部品が搭載されるようになっています。部品点数が増えるほど、基板面積の増大、実装コストの上昇、ノイズ混入、調達リスクといった課題が発生しやすくなります。
ASIC化によって必要な機能を1チップに集積できれば、住宅設備に求められる小型化・省電力化・信頼性向上を同時に進めやすくなります。
ここでは、住宅関連機器・スマートホーム・人感検知・空調制御など、住宅設備と関連性の高いASICの開発事例を紹介します。
住宅設備向けASICの事例として取り上げやすいのが、ジェピコのアナログASICです。ジェピコでは、産業・通信・IoT・OA・住宅関連機器・車載関連の顧客に向けて、アナログASICおよびミックスドシグナルASICを提供していると紹介されています。
住宅関連機器では、温度・湿度・圧力・人感などのセンサー信号処理、電源管理、低消費電力化、ノイズ対策などが重要になります。アナログASICを活用することで、ADC・DAC・電源・フィルタなどの回路を用途に合わせて集約し、基板の小型化や部品点数削減、性能の安定化を図りやすくなります。
スマートホームや住宅内の見守り・防犯機器に近い事例として、AnSemのASIC事例があります。AnSemでは、室内検知用の40kHz超音波受信器と、入室管理・徘徊防止に使われるRFIDトランシーバを統合したASICを開発した事例を掲載しています。
この事例は、住宅設備そのものに限定されたものではありませんが、室内検知、アクセス制御、見守り、防犯といったスマートホーム領域と親和性があります。住宅向けの人感センサー、スマートロック、見守り機器、セキュリティ機器などでは、検知回路や無線・認証回路を小型・低消費電力にまとめることが求められるため、ASIC化の参考事例として取り上げやすい内容です。
住宅設備の筐体内には、制御基板のほか、配線、モーター、センサー、通信モジュールなど多くの部品が収められています。製品を小型化したい場合や、既存筐体のまま機能追加を行いたい場合、基板面積の削減は大きな課題になります。
ASIC化によって複数の周辺回路を1チップにまとめることで、実装スペースを削減しやすくなります。また、部品点数が減ることで実装工程や検査工程の簡略化にもつながります。
住宅設備では、モーター、リレー、電源回路、通信回路などが同じ基板上に配置されることがあります。そのため、センサー信号処理回路がノイズの影響を受け、検出精度や制御安定性に影響する場合があります。
アナログASICでは、センサー信号処理に必要なアンプ、フィルタ、A/D変換回路などを近接して設計できるため、外部配線や基板パターンに起因するノイズ影響を抑えやすくなります。高精度な温度制御や安全検知が求められる機器では、重要なメリットです。
住宅設備は、発売後も長期間にわたって保守・交換部品の供給が求められます。しかし、汎用ICやディスクリート部品を多く使用していると、部品の生産終了や仕様変更によって再設計が必要になるリスクがあります。
ASIC化によって主要な回路を自社仕様のチップとして設計しておけば、部品構成を安定させやすくなります。特に量産期間が長い住宅設備では、開発時点だけでなく保守・供給まで見据えた部品戦略としてASICを検討する価値があります。
住宅設備向けASICでは、センサー信号処理や電源管理などのアナログ回路だけでなく、制御ロジック、通信インターフェース、補正処理などのデジタル回路をどこまで統合するかを検討する必要があります。すべてを1チップ化することが必ずしも最適とは限らないため、既存マイコンとの役割分担も含めて設計することが重要です。
給湯器や屋外センサーなどは、温度変化や湿度、電源変動の影響を受けやすい環境で使われます。そのため、ASIC開発では、使用温度範囲、ノイズ耐性、保護回路、長期信頼性を考慮した設計が欠かせません。
ASICは専用設計となるため、初期開発費が発生します。その一方で、量産時には部品点数削減や実装コスト削減、基板小型化によるメリットが期待できます。住宅設備のように一定数の量産が見込まれる製品では、量産台数、製品寿命、部品調達リスクを含めて費用対効果を検討しましょう。
住宅設備は、単なる機械制御から、センサー制御、省エネ制御、IoT連携、安全監視を組み合わせた電子機器へと進化しています。機能が増えるほど、基板面積、消費電力、ノイズ、部品調達といった課題も複雑になります。
アナログASICを活用すれば、センサー信号処理、電源管理、モーター制御、通信インターフェースなどを用途に合わせて最適化できます。給湯器、空調機器、スマートロック、インターホン、住宅用センサーなどの開発で、既存回路の小型化や高精度化、長期供給に課題を感じている場合は、ASIC開発を検討してみてはいかがでしょうか。
用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。
ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。
500nm/350nm/250nm/180nm
OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm
TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)
PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)
※1参照元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)