アナログASICの特徴や用途

目次

特定用途に最適化された設計によって高精度な信号処理を可能にすることから、幅広い分野で活用されるアナログASIC。この記事では、アナログASICの特徴や用途、設計を依頼する際のポイントについて解説します。

アナログASICとは

アナログASICとは

特定用途に最適化されたアナログ回路

アナログASICとは、ゴールとなる用途や機能に特化して設計された回路で、電圧・電流・周波数などの連続的(アナログ)な信号を直接扱います。

例えば、センシング信号の増幅やフィルタリング、基準電圧の生成、ノイズ除去など、目的に応じた性能を追求するためにトランジスタの動作点やレイアウト構造が細かくチューニングされます。汎用的なアナログ部品では満たせない微細な要求仕様に応えるために、設計の自由度を活かして最適化を図るのが特徴です。

デジタルASICとの違い

デジタルASICが0と1の離散信号を用いて論理演算やデータ処理を行うのに対し、アナログASICは電圧や電流といった連続量を直接処理する点が大きな違いです。デジタルは高速処理や大規模演算に強みがありますが、アナログは微小信号の検出や高精度の増幅、リアルタイムな波形制御などに優れています。デジタルASICとアナログASICは競合の関係ではありません。相互補完的に利用されることがあります。

アナログASICの主な用途

産業機器・IoT用途

産業機器やIoT分野では、アナログフロントエンド(AFE)がセンサー信号処理の要となります。微小なセンサーデータを高精度に増幅・変換し、デジタル回路へ正確に渡すことでシステム全体の性能を支えます。日本企業では製造プロセスやパッケージ技術を駆使し、多様な産業・IoT用途に適したカスタムソリューションが提供されています。

通信・OA機器

高速かつ信頼性の高い画像・信号処理が求められる通信やOA機器においては、アナログASICが不可欠です。複合機やカメラでは、高速レンダリングや動画圧縮処理などを担う専用ASICが活用され、日本の機器開発にも広く導入されています。用途特化による高性能化要求は、通信分野や画像処理機器でアナログASICが活用される大きな要因です。

アナログASICの設計を依頼する
際に気を付けたいポイント

仕様の明確化

設計者と発注者の間で認識のズレが発生しないよう、仕様を明確にすることが重要です。増幅、フィルタ、センサータイプなど要求される機能、入力レンジ/出力レンジ、帯域幅、ノイズ許容値、消費電力、温度特性、電源電圧、立ち上げ動作やパワーアップシーケンスなど、詳細な動作条件を設計依頼書(仕様書)に盛り込む必要があります。

信号遅延、クロストーク、リニアリティ、歪み、安定性などの性能指標を定量化すること、動作環境や寿命要件も含めましょう。

長期供給と品質保証

そのASICを製造するプロセスノードが将来もサポートされるか、標準プロセスの廃止やファウンドリの変更がないか、またパッケージの供給や試験設備、テストプローブ等が継続できるかなどをチェックします。品質保証として、信頼性試験をどのレベルで行うか、歩留まりや故障率保証、部品バラつきに対する対応、またアフターサポートの契約条件を交えておくことが望ましいです。

まとめ
高精度分野を支える
カスタム半導体

アナログASICは、用途や仕様に合わせて最適化された設計により、高精度かつ高効率な信号処理を実現する専門性の高いカスタム半導体です。産業機器やIoT、通信機器など幅広い分野で重要な役割を果たし、汎用品では対応できない性能要求に応えます。

設計依頼に際しては、性能指標の明確化から長期供給、品質保証までを見据えた仕様整理が不可欠です。信頼できる設計パートナーを選ぶことで、安定した製品開発と競争力の強化につながります。

目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ
ジェピコ公式HP
引用元:ジェピコ公式HP
https://www.jepico.co.jp/analog-asic.html
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ公式HP(https://www.jepico.co.jp/analog-asic/development_case.html)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

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