カスタムSoCは、特定用途に最適化されたASIC技術を活用し、高性能と低消費電力を両立する半導体です。スマートフォンから自動運転まで幅広い分野で採用されています。この記事では、カスタムSoCのメリット・デメリット、主な用途などを紹介します。
カスタムSoC(System on Chip)は、特定のアプリケーションや機能に最適化された専用設計の統合チップです。性能、消費電力、サイズ、コストのバランスを最適化できます。例えば、組み込み機器やセキュリティ機能を持つデバイスでは、オンチップおよびオフチップの改ざん検知回路を組み込むことで、セキュリティを強化することが可能です。
カスタムSoCは、特定用途に最適化された設計により高い性能と電力効率を実現できます。処理速度や消費電力の面で汎用チップを上回るため、組み込み機器や通信機器などで優れた性能を発揮します。
一方で、設計が専用化されているため、用途変更や追加機能に対する柔軟性が低く、汎用性はほとんどありません。また、開発コストや設計期間が長くなる点も課題です。性能と効率の高さは魅力ですが、柔軟性の欠如がトレードオフとなります。
カスタムSoCは、スマートフォンから自動運転車まで、さまざまな分野で活用されています。スマートフォンでは、AI処理に特化した専用コアを搭載し、画像認識や自然言語処理などの高度な処理を高速で実行可能です。自動運転車では、NVIDIAのXavier SoCが、ライダー、レーダー、カメラなどのセンサーからのデータを統合的に処理し、毎秒約40兆回の演算を実行します。
ASICはカスタムSoCを実現する技術です。特定の機能に特化した専用回路を設計することで、高効率な処理を実現します。ASICは、基本的な回路セルを半導体メーカーが用意したマスタースライス上に、ユーザー設計の配線を形成することで作られ、CPU、メモリ、インタフェース、グラフィックス、コーデックなどを1枚のシリコンダイに集積可能です。
こうした専用回路により、汎用プロセッサでは実現できない高性能と低消費電力を両立できます。また、必要に応じてSiP(system in package)として複数ダイを1パッケージにまとめることで、携帯機器などでの面積制約にも対応可能です。ASICは、SoCの高効率化の基盤技術として重要な役割を果たしています。
ASICメーカーは、それぞれ得意とする分野や技術に特徴があります。例えば、通信向け、高性能演算向け、低消費電力向けなど、メーカーごとに強みが大きく異なります。
そのため、ASICを用いたカスタムSoC開発では、単に性能だけでなく、メーカーごとの違いを理解して、用途や開発要件に応じて適切なメーカーを選ぶことが重要です。
カスタムSoCの開発・製造を外注する前に確認しておきたい判断基準や注意点をまとめました。
カスタムSoCとは、CPU、メモリ、インターフェース、専用処理回路などを1つのチップ上に集積し、特定の製品や用途に合わせて設計する半導体です。汎用チップをそのまま使うのではなく、必要な機能や性能に合わせて構成を最適化できる点が特徴です。
高性能化、低消費電力化、小型化、部品点数の削減などが期待できますが、専用設計になるため、開発費・設計期間・検証工数を含めた判断が必要です。
既存の汎用プロセッサ、FPGA、複数ICの組み合わせでは、処理性能、消費電力、基板面積、コスト、セキュリティ、長期供給などに限界が出ている場合に、カスタムSoC化を検討する価値があります。
特に、同じ機能を長期間・一定数量以上で量産する製品や、AI処理、画像処理、通信処理、センサー処理などで独自の処理性能が求められる製品では、専用回路化による効果が出やすくなります。
外注前には、実現したい機能、処理性能、消費電力、動作周波数、搭載するCPUやメモリ、必要なインターフェース、セキュリティ要件、使用環境、量産予定数、希望スケジュールを整理しておくことが重要です。
カスタムSoCでは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェア、ドライバ、評価環境、量産テストまで関係します。そのため、チップ単体の仕様だけでなく、最終製品の使われ方や周辺システムとの接続条件まで共有できると、実現性の判断がしやすくなります。
カスタムSoCでは、CPUコア、メモリコントローラ、通信インターフェース、画像処理、暗号処理など、既存のIPコアを組み合わせて設計することがあります。IPを活用すると開発期間を短縮しやすい一方で、ライセンス条件、検証範囲、将来の保守性を確認する必要があります。
また、インターフェースの選定では、通信速度だけでなく、接続先デバイス、基板設計、ソフトウェア対応、量産テストのしやすさも関係します。必要なIPを並べるだけでなく、システム全体として無理のない構成になっているかを確認することが大切です。
開発費用や期間は、回路規模、プロセスノード、搭載IP、検証範囲、試作回数、パッケージ、量産テストの内容によって変わります。特に、先端プロセスを使う場合や、多数のIPを組み合わせる場合は、設計・検証・マスク費用が大きくなりやすくなります。
期間が延びやすいのは、仕様変更が後から発生するケース、ソフトウェアとの連携が遅れるケース、検証項目が不足して試作後に不具合が見つかるケースです。カスタムSoCでは、設計そのものよりも、検証とシステム統合に時間がかかることがあります。
失敗しやすいのは、要求仕様が曖昧なまま設計に進むケース、IP同士の接続や性能見積もりが不十分なケース、ソフトウェアや評価環境の準備が後回しになるケースです。
カスタムSoCは、回路単体が正しく動いても、CPU、メモリ、バス、インターフェース、ソフトウェアが組み合わさった状態で期待通りに動作しなければ、製品として成立しません。そのため、初期段階から検証計画、評価ボード、ドライバ、量産テストを見据えておく必要があります。
確認すべきなのは、SoCアーキテクチャ設計、RTL設計、IP選定、検証、DFT、物理設計、パッケージ、試作評価、量産立ち上げまで、どの範囲に対応できるかです。単に「設計できるか」だけでなく、開発全体をどこまで支援できるかを見る必要があります。
また、自社製品の用途に近い技術領域への理解、ソフトウェア連携への対応、試作後の不具合解析、量産テストの設計力も重要です。相談時には、設計範囲・検証範囲・量産時の責任範囲を明確にすることが、外注後の認識違いを防ぐポイントです。
カスタムSoCは、特定用途に最適化されたASICを用いることで高性能と低消費電力を両立し、製品の差別化を実現する半導体です。プロセッサやメモリ、インタフェース、グラフィックスなどを1枚のシリコンダイに集積することで、小型化や高効率化も可能です。
さらに、SiPを活用すれば複数のダイを1パッケージにまとめ、モバイル機器などでも最適化が図れます。用途や開発要件に応じて得意分野のASICメーカーを選ぶことも、差別化を成功させる重要なポイントです。
用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。
ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。
500nm/350nm/250nm/180nm
OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm
TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)
PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)
※1参照元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)