ミックスドシグナルICの受託開発

ミックスドシグナルIC 受託開発

ミックスドシグナルICの受託開発|依頼先の選び方と相談前の整理項目

ミックスドシグナルICの受託開発先を選ぶとき、「アナログとデジタルの両方を設計できるか」だけでは比較しきれません。委託する工程、製造プロセス、評価方法、量産時の供給、仕様変更時の扱いまで、同じ条件で見比べる必要があります。

最初に整理したいのは、製品として実現したいこと、入出力信号、使用環境、数量、希望時期、そして自社で担当できる工程です。未確定点も分けて書けば、候補会社ごとの提案範囲と前提条件が見えやすくなります。

結論:依頼先は「設計できるか」ではなく5つの条件で選ぶ

最初の比較では、次の5点を確認します。

  1. 必要なアナログ機能とデジタル機能の両方に実績があるか
  2. 仕様検討から量産まで、必要な工程を任せられるか
  3. 製造プロセス、IP、レイアウト、パッケージの選択理由を説明できるか
  4. シミュレーション、実機評価、量産テストの合格条件を合意できるか
  5. 仕様変更、再試作、量産供給、EOL時の責任分界が明確か

会社名やサービス名だけで絞り込まず、見積書の前提条件と除外範囲をそろえてください。5点すべてに即答できる会社を探すというより、未確定事項を特定し、確認方法と担当者を示せるかを見るための軸です。

まず決める:受託設計とターンキー、どこまで任せるか

受託設計は「設計のどこまでか」を確認する

受託設計は、回路設計だけを指す場合もあれば、仕様検討、レイアウト、設計検証、初期評価まで含む場合もあります。発注側がファウンドリ、パッケージ会社、テスト会社を別に管理するなら、各社へ渡すデータと承認のタイミングを先に決めます。

ターンキーでも含まれる工程は一律ではない

ターンキーは、要求分析から量産供給までを一つの窓口へ任せたい場合の候補です。ただし、名称だけで全工程が含まれるとは判断できません。公式の公開例を見ても、仕様検討から初期評価までを示す設計受託と、量産品供給までを示すターンキーでは対応範囲が異なります。

先に責任分界表をつくる

候補会社には、仕様、回路、レイアウト、製造データ、ウェハ製造、パッケージ、評価、テスト、品質保証、量産供給の各工程について、主担当、承認者、成果物、費用負担を確認します。初回試作で目標を満たさなかった場合の原因切り分けと再試作費用も、見積もりの段階で質問しておきたい項目です。

技術適合を見極める4つの確認項目

アナログ機能とデジタル機能を分けて照合する

ミックスドシグナルICは、連続値を扱うアナログ回路と、制御や演算を担うデジタル回路を同じIC内に組み合わせます。候補会社の実績を見るときは、「ミックスドシグナル対応」という表記だけでなく、必要な機能単位まで分解します。

公式に公開された設計実績の例には、アナログ側のADC、DAC、LDO、センサー周辺回路と、デジタル側のSPI・I2C、CPU、RAM、制御ロジックなどがあります。同じ機能名でも、分解能、帯域、ノイズ、消費電力、耐圧、温度範囲が違えば、自社案件との近さは変わります。名称だけでなく、求める性能条件と担当範囲を照合してください。

製造プロセス・IP・レイアウトを一組で確認する

回路方式だけでなく、候補となるファウンドリとプロセス、そのプロセスで利用できるIP、アナログ特性を考慮したレイアウトの経験を確認します。公開情報にファウンドリ名やプロセス名があっても、希望時期に同じ選択肢を使えるとは限りません。採用理由、代替候補、変更時の影響まで質問します。

評価と量産テストの合格条件を決める

設計シミュレーション、試作チップの電気特性評価、テストプログラム、プローブカード、量産立上げは、分けて確認したい工程です。どの温度・電圧・負荷条件で、何を測り、どの値なら合格か。評価治具や基準器を誰が用意し、不具合解析をどこまで行うかも決めます。

評価・テスト開発・量産立上げを対応業務として分けて掲載している受託会社もあります。設計費に含まれると決めつけず、成果物と費用区分を確認してください。

パッケージ・品質・量産供給まで確認する

試作チップの評価と、量産品の継続供給では、確認すべき条件が異なります。パッケージ形態、実装条件、信頼性試験、出荷検査、歩留まり悪化時の対応、発注単位、供給期間、製造条件変更やEOLの連絡方法を確認します。

公式サービスの公開例では、設計後にウェハ製造、パッケージ加工、電気的特性評価、不具合解析、信頼性試験、テスト開発、量産、出荷検査が続きます。すべての案件で同じ工程が必要なわけではありません。自社製品に必要な工程だけを責任分界表へ残します。

見積もりと日程がぶれやすい条件を先にそろえる

複数社の見積もりは、総額だけでなく前提条件をそろえて比べます。少なくとも、次の項目は同じ粒度で提示してください。

  • 回路規模と必要機能、再利用するIP
  • 想定プロセス、チップサイズ、パッケージ
  • シミュレーションとレビューの範囲
  • 試作回数と再試作の扱い
  • 評価項目、評価治具、テスト開発
  • 信頼性試験と品質文書
  • 量産数量、納品形態、供給期間
  • 仕様凍結日と量産開始希望日

日程は最終納期だけでなく、仕様凍結、設計レビュー、テープアウト、試作品受領、評価完了、再試作判断、量産承認の節目で比べます。発注側の承認待ちや評価治具の準備も日程表に入れれば、候補会社の作業期間と分けて確認できます。

初回相談前のRFPチェックリスト

半導体仕様が固まり切る前でも、要求分析や仕様決めから相談を受ける会社の例があります。どの段階から相談できるかは候補会社に確認し、未確定点を含む前提で見積もれる範囲を尋ねてください。

初回相談では、次の情報を一枚にまとめます。

  • 開発目的:何を小型化、低消費電力化、統合、置換したいか
  • 用途と使用環境:搭載製品、温度、電源、外来ノイズ、耐久条件
  • 入力信号:種類、範囲、周波数帯域、必要精度、センサー条件
  • 出力と接続先:負荷、マイコン、FPGA、通信方式
  • 必要機能:アナログ部、デジタル部、ソフトウェアとの分担
  • 制約:サイズ、消費電力、パッケージ、既存部品、認証
  • 数量と時期:試作数、量産数、製品寿命、希望時期
  • 既存資産:回路図、評価データ、IP、RTL、基板、基準サンプル
  • 委託範囲:自社で担う工程と外部へ任せたい工程
  • 未確定点:候補会社から提案してほしい項目

候補会社を同じ条件で比較する質問表

比較軸 候補会社へ確認する質問 回答で見る点
技術実績必要なアナログ機能・デジタル機能に近い開発経験はあるか用途名だけでなく性能条件と担当範囲が近いか
委託範囲仕様検討から量産供給まで、どこを担当するか除外工程と外部パートナーの管理主体が明確か
プロセス候補プロセスと選定理由、代替案は何かIP、耐圧、ノイズ、コスト、供給を合わせて説明できるか
検証・評価合格条件、レビュー、実機評価をどう決めるか測定条件、治具、基準データ、責任者が明確か
テスト・品質試作テストと量産テスト、信頼性確認をどこまで行うかテスト開発費、品質文書、不具合解析の範囲が明確か
見積もり総額に含むもの、含まないものは何か再試作、仕様変更、追加評価の費用条件が比較できるか
日程仕様凍結から量産承認までの節目はいつか発注側の承認・支給物を含めたクリティカルパスが見えるか
成果物・権利回路図、設計データ、評価結果、テスト資産は何を受け取れるか利用範囲、改変権、第三者IPの制限が明確か
量産供給発注単位、供給期間、変更・EOLの連絡条件は何か調達責任と代替対応の取り決めがあるか
変更管理仕様変更を誰が承認し、費用と日程へどう反映するか口頭変更を避ける手順と判断記録があるか

回答に「要相談」が多くても、それだけで除外する必要はありません。回答に必要な情報、次の確認方法、期限まで示されるかを見ます。

開発開始から量産移行までの進め方

  1. 目的と制約を整理し、委託範囲の仮案をつくる
  2. 複数社へ同じRFPを出し、実現性、前提条件、除外範囲を比べる
  3. 仕様と責任分界を固め、変更承認の手順を決める
  4. 回路設計、レイアウト、設計検証のレビューを行う
  5. テープアウト後、試作品を評価し、合格・修正・再試作を判断する
  6. テスト条件、品質条件、量産単価、供給条件を確認して量産承認する
  7. 量産中の変更通知、不具合解析、供給終了時の連絡経路を維持する

公開されているターンキーの工程例にも、設計後のウェハ製造、パッケージ、評価、信頼性試験、テスト、量産・出荷が示されています。発注側は「設計完了」ではなく、自社製品として量産承認できる状態をゴールに置きます。

よくある質問

最初の相談では何を伝えればよいですか?

開発目的、入力と出力、使用環境、数量、希望時期、自社で担当する工程を伝えます。決まっていない項目は、空欄にせず「候補会社から提案してほしい」と記載すると、質問の対象が明確になります。

見積金額が大きく違う場合、どこを比べればよいですか?

設計費だけでなく、IP、マスク、試作、パッケージ、評価、テスト、信頼性試験、再試作、量産立上げが含まれるかを確認します。試作回数、性能未達時の対応、発注側の支給物もそろえて比較してください。

ターンキーを選ぶべきなのはどのような場合ですか?

ファウンドリ、パッケージ、テストなど複数の委託先を自社で管理する体制が不足している場合や、設計から量産供給までの窓口をまとめたい場合に検討しやすい形です。ただし、社外パートナーの管理方法と、問題発生時の責任主体は確認が必要です。

候補会社の実績は何を確認すべきですか?

顧客名の開示を求めるだけでは、自社案件との近さは分かりません。守秘義務の範囲を前提に、用途、機能、性能条件、プロセス、担当工程、量産経験、課題への対処範囲について、開示可能な情報を確認します。実績件数より、自社案件との共通点と違いを説明できるかを見てください。

まとめ:仕様の完成度より、未確定点を共有できる状態をつくる

ミックスドシグナルICの受託開発では、アナログ・デジタルの設計力に加え、委託範囲、製造条件、評価・テスト、量産供給、変更管理までを一つの比較表にします。

開発目的、入出力、使用環境、数量、時期、自社で担う工程、未確定点をRFPにまとめ、同じ情報を候補会社へ渡してください。前提条件と除外範囲をそろえることで、金額だけでは比較できない対応範囲と提案内容を見分けやすくなります。

最初の一歩は、この記事のチェックリストを自社案件で埋めることです。候補会社から提案が必要な項目も、比較条件の一つとして明記します。

ASICメーカーの対応領域を確認する
目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ・セミコンダクター
ジェピコ・セミコンダクター公式HP
引用元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP
https://www.jepico-semiconductor.co.jp/
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

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