IoT機器に用いるASIC

目次

IoT機器の普及に伴い、省エネルギー・高性能・小型化・セキュリティ強化が求められています。こうした要求に適切なのが、特定用途向けに設計されたASICです。この記事では、IoTにおけるASICの利点や市場動向、導入時の課題と今後の展望について解説します。

なぜIoTにASICが
適しているのか

省エネルギーと高効率

IoT機器はバッテリー駆動や長時間稼働が求められる場面が多く、省エネルギー性能が重要です。ASICは特定の機能に特化して設計されるため、汎用プロセッサに比べて不要な処理を削減でき、消費電力を大幅に抑えられます。

また、必要な演算や通信処理を効率的に行えるため、同じ処理量でもエネルギーあたりの性能が高く、長時間の稼働が可能です。こうした特性により、IoT機器の省電力化と高効率運用にASICが適しています。

コンパクトで信頼性の高い設計

小型化や軽量化が求められることが多く、限られたスペースに高性能な機能を詰め込む必要があるIoT機器。ASICは用途に応じて回路を最適化できるため、余分な部品や回路を削減でき、コンパクトな設計が可能になります。

また、特定用途向けに設計されることで回路の複雑さが抑えられ、故障点も少なくなるため、信頼性の高い動作を実現できます。限られた筐体でも安定した性能を求められるIoT機器にASICは適しているのです。

センサー統合とリアルタイム処理

複数のセンサーから取得したデータを迅速に処理し、リアルタイムで制御や通信に反映させることが求められるIoT機器。ASICは必要なセンサーインターフェースや信号処理回路を1チップに統合できるため、外付け部品を減らしてデータ伝達の遅延を最小化できます。

また、専用回路による並列処理や高速演算が可能なため、リアルタイム処理性能が向上し、正確かつ迅速な制御やモニタリングを実現できます。ASICはセンサー駆動のIoT機器に適したソリューションです。

セキュリティ強化の可能性

IoT機器はネットワークに常時接続されるため、セキュリティ対策が重要です。ASICは特定用途向けに設計できるため、暗号化処理や認証機能などのセキュリティ回路をチップ内部に組み込めます。ソフトウェア依存の脆弱性を減らし、不正アクセスやデータ改ざんのリスクを低減可能です。

また、専用回路による高速な暗号処理が可能なため、セキュアな通信や認証を効率的に実行でき、IoT機器全体の安全性を高めることができます。

IoT市場におけるASICの
動向と課題

市場成長と用途の広がり

IoT市場は急速に拡大しており、スマートホームやウェアラブル、産業用機器、自動運転など幅広い分野で利用が進んでいます。センサー技術や通信インフラの進化により、従来は接続が難しかった小型・低消費電力デバイスもネットワークに参加可能となり、用途の幅が拡大しています。

これに伴い、特定用途に最適化されたASICの需要も増加。エネルギー効率や処理性能の向上を支える重要な技術として、市場成長をさらに後押ししています。

技術的・コスト的課題

一方で、課題も存在します。ASICの設計・製造には高額な初期投資が必要であり、中小企業の参入障壁となっています。高度な設計スキルと専用ツールが必要で、設計期間が長くなる傾向も課題のひとつです。IoT機器の技術進化が早いため、ASICが完成する頃には仕様や市場ニーズが変化して陳腐化するリスクがあります。

課題を克服するためには、設計効率の向上や柔軟な開発戦略が不可欠です。

まとめ
IoTとASICの相性と
今後の展望

IoTにおけるASICの採用は、省エネルギーや高性能、小型化、セキュリティ強化などの面で特に有効です。特にセンサー処理やリアルタイム通信を必要とする用途で大きな効果を発揮します。IoTデバイスの急増や5G、エッジコンピューティングの進展に伴い、ASIC市場はさらに拡大が見込まれます。

設計特性や得意分野がメーカーごとに異なるため、用途や性能要求に応じて適切なパートナーを選ぶことが重要です。

目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ
ジェピコ公式HP
引用元:ジェピコ公式HP
https://www.jepico.co.jp/analog-asic.html
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ公式HP(https://www.jepico.co.jp/analog-asic/development_case.html)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

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