計測・測定機器のASIC導入事例

目次

計測・測定機器では、センサーなどから取得したアナログ信号を高速かつ高精度に処理する必要があります。本記事では、オシロスコープと産業用計測機器という2つの実例を通じて、ASICが計測精度・処理速度・省コストにどう貢献するか掘り下げているので、計測機器向けASIC開発を検討している方は参考にしてみてください。

※センサーからの信号取り込み回路の詳細については、以下の記事よりご確認いただけます。

オシロスコープへのASIC導入事例

6種類のASICで8ch計測を1台に集積

Keysight社の「MXRオシロスコープ」は、6種類の独自ASICを搭載し、8チャンネル分の計測処理を1台の機器に集積しています。複数のASICを組み合わせることで、測定性能を維持しながらコストを抑える設計を実現しました。

また、Automotive Ethernet(2.5G/5G BASE-T1)に求められる高精度なタイミング計測も、ASIC群によって実行処理されています。

80以上のASICで160 Gsamples/sを実現

計測の限界に挑む研究開発用途として、80以上のASICを1台の機器に組み込んだ事例もあります。高度な並列処理により、160 Gsamples/sという高速サンプリングでの計測を実現。汎用ICでは到達が困難なデータ処理速度を、用途に合わせて設計された多数のASICが支えており、光電子工学などの複雑な信号解析に貢献しています。

産業用計測機器へのASIC導入事例

複数センサーのアナログ信号処理・AD変換・データ処理を1チップに集積

アナログ信号処理からオフセット調整、10bitのAD変換、デジタルデータ処理までを一貫して1チップに集積した事例です。1Mゲート規模のロジック回路とSRAM・PROМを備え、0.18μm以下の微細プロセスを採用。AD変換と演算が統合されたことで、後段MPUの負荷が飛躍的に軽量化しシステム全体のパフォーマンスが向上しました。

参照元:ジェピコ公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/development-case/

計測機器向けASIC開発を検討する際のポイント

求められる計測精度・サンプリングレートの定義

計測対象ごとに必要なビット精度(10bit・12bit・16bitなど)やサンプリング速度は異なります。汎用ICでは性能の過不足が生じやすい場面において、要件を第一に定義しASICを導入することが有効です。

アナログ・デジタル混在設計への対応力

計測機器向けASICでは、アンプ・フィルタなどのアナログ回路とAD変換・演算・通信などのデジタル回路を同一チップに集積するケースが同一チップに集積するケースが一般的です。アナログ・デジタル混在設計の実績を持つASICメーカーを選ぶことが、設計品質の確保につながります。

長期供給保証とEOL対策

計測機器は長期使用が前提となるため、汎用ICのEOL(生産終了)への備えとしてカスタムASICを採用するケースも見られます。メーカーの供給安定性や代替品開発サービスの有無も、選定時に確認しておきましょう。

まとめ

計測機器本体にASICを導入することで、高度な計測精度や処理速度の向上、機器の小型化や省コストを高いレベルで両立させることが可能です。自社の要件を見極め、開発目的に合致する製品を検討してみてください。

当メディアでは、ASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、目的別におすすめのASICメーカーを厳選しています。

目的別ASICメーカー3選を見る

目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ・セミコンダクター
ジェピコ・セミコンダクター公式HP
引用元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP
https://www.jepico-semiconductor.co.jp/
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ・セミコンダクター公式HP(https://www.jepico-semiconductor.co.jp/)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

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