ASICの開発フロー

目次

ASIC開発は、要求仕様の定義から量産まで複数工程を経て着実に進めていく必要があります。開発プロセス全体を理解することは、高品質なASIC設計と効率的な量産の実現に不可欠です。ここでは、ASIC開発のフローを解説します。

ASIC開発の流れについて解説をした画像

要求仕様の定義

ASIC(特定用途向け集積回路)の開発における最初のステップは、要求仕様の定義です。この段階では、顧客のニーズや市場要件を詳細に分析し、ASICが果たすべき機能、性能、消費電力、動作環境、サイズ、コストなどの要件を明確にします。設計の方向性が定まり、後の設計工程における判断基準となります。

また、開発期間や予算、人的リソースなどの制約条件も考慮し、実現可能な仕様を策定することが重要です。

論理設計・回路設計

論理設計・回路設計は、要求仕様をもとにハードウェアの動作を具体化する工程です。論理設計では、回路がどのように信号を処理し、機能を実現するかをRTLや論理ゲートレベルで定義します。

その後、回路設計では論理設計をもとにトランジスタや配線の配置、タイミングや電力消費の最適化を行い、物理的な回路構造を作り上げます。正確な設計と検証が、性能・消費電力・信頼性のバランスを保つ上で重要です。

レイアウト設計(物理設計)

論理設計で定義した回路を実際の半導体チップ上に配置・配線する工程です。標準セルやブロック単位で回路素子を配置し、配線長やクロストーク、信号遅延を考慮して最適化します。また、電源・グランドの配線やタイミング調整、熱対策も重要な要素です。

最終的にレイアウトデータが完成すると、製造用のマスク設計に進む基盤となり、チップの性能・信頼性を左右する非常に重要な工程です。

試作(テープアウト)

物理設計が完了したチップデータをもとに、実際の半導体ウェハーに回路を製造する工程です。テープアウト後、試作チップを用いて設計通りに動作するか、性能や消費電力、信頼性が要求仕様を満たしているかを評価します。不具合があれば設計にフィードバックし、必要に応じて修正を行います。この段階は量産前の最終検証として重要で、製品化の成否を左右する重要なステップです。

評価・検証

評価・検証は、試作チップを用いて設計通りに機能・性能が発揮されるかを確認する工程です。動作確認やタイミング検証、消費電力測定、耐久性テストなど多角的な評価を行い、不具合や設計上の問題を特定します。検証結果は設計チームにフィードバックされ、必要に応じて回路修正や最適化が行われます。量産前に品質や信頼性を確保し、製品リスクを最小化することが可能です。

量産・品質保証

評価・検証を経て問題が解決されたチップを大規模に製造する工程です。量産では、製造プロセスのばらつきを考慮し、歩留まり向上やコスト最適化が重要となります。

また、完成したチップは出荷前に厳格な品質検査を受け、信頼性や性能が仕様通りであることを確認します。継続的な品質管理と製造プロセスの監視により、長期的な安定供給と顧客満足度を確保することが目的です。

まとめ
開発プロセスを理解する重要性

ASIC開発は、多段階の工程が連携して進む一貫性のあるプロセスです。各工程での検証とフィードバックを重ねていくことで設計精度を高め、試作から量産へと確実に進められます。

メーカーごとに設計技術やプロセスノード、IPやEDAツール、品質管理体制に特色があり、用途や開発要件に応じた選択が製品の成功を左右します。用途や開発要件に応じて適切なASICメーカーを選ぶことが重要です。

目的別
ASICメーカー3選

用途に特化した高性能な半導体を実現するための要であるASICは、メーカーによって得意とする領域や対応の柔軟性、設計支援体制に大きな差があります。

ここではASICの導入や開発を検討している企業担当者に向けて、信頼できるASICメーカー3社を厳選。それぞれの特徴や得意分野をわかりやすく紹介します。

汎用アナログ信号
への対応力なら
ジェピコ
ジェピコ公式HP
引用元:ジェピコ公式HP
https://www.jepico.co.jp/analog-asic.html
対応可能なプロセスノード

500nm/350nm/250nm/180nm

ASIC開発実績

OA機器/産業機器/住宅関連機器/車載/EOL相当品開発

など
おすすめの理由
  • 信号処理で多数の開発実績あり※1。無電源環境下で動作する低電力のミックスドシグナルIC等、難易度の高い仕様も、自社製品に合わせて実現しやすい
  • ファブレスメーカーとして、ウェハ製造~IC量産出荷まで一貫した品質保証が可能。デリバリ面でも安定した供給体制を構築している。
画像やAI処理などの
先端SoCへの対応力なら
ソシオネクスト
ソシオネクスト公式HP
引用元:ソシオネクスト公式HP
https://www.socionext.com/jp/
対応可能なプロセスノード

90nm/65nm/55nm/40nm/28nm/16nm/12nm/7nm/5nm

ASIC開発実績

TV/LPWA/衛星通信/スマートセンサー

など
おすすめの理由
  • RF通信向けソリューションの実績あり。低消費電力RF設計技術を活かし、カスタムSoCの省電力化を提案。
  • AI処理に対応したSoCを設計。Google Quantum AIと量子制御チップを共同開発※2するなど、先端領域への技術展開を強化。
光通信ネットワーク
への対応力なら
メガチップス
メガチップス公式HP
引用元:メガチップス公式HP
https://www.megachips.co.jp/product/asics/
対応可能なプロセスノード

TSMC:28nm/16nm FFC/5nm/7nm(計画中)
GF:22nm FDSOI/12nm(計画中)

ASIC開発実績

PON向け高速シリアルインターフェース(SerDes)

など
おすすめの理由
  • PON向けバーストモードCDR/SerDes技術で15年以上の開発実績※3(2025年8月調査時点)を有し、上り信号を安定化
  • 5G RU FPGAからASICへの変換により、システム性能を損なうことなく消費電力を最大55%削減※4し、低コスト化を実現

※1参照元:ジェピコ公式HP(https://www.jepico.co.jp/analog-asic/development_case.html)
※2参照元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02214/)
※3参照元:メガチップス公式HP(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)
※4参照元:メガチップス(https://www.megachips.co.jp/product/asics/solution/optical-com/)

目的別おすすめ
ASICメーカー3選